hajimetenoblogid’s diary

このブログは、反安倍ファシズムのすべての人々と連帯するために、米村明夫が書いています。

体に悪い、官僚の「語法」

 安倍首相の様々な発言、政策の表現方法は、官僚や民間会社の積極的な応援を受けている。もちろん、それは首相側が、権力の分与やお金の見返り等を払ってのものだが。

 私は、このファシズム政権が、個々の政策で非常に低い支持率しか得られていないのに、首相の支持率として50%前後を得ていることの理由の一つは、この表現方法の上手さにあると考えている。世論調査での個々の政策についての質問は、例えば、政府の「積極平和主義」等というインチキな言葉遣い、表現が入ってくる余地は比較的少ない。従って、だまされることなく、そのまま政策についての自分の意見を回答するだろう。ところが、首相を支持するか?という質問になれば、政府やマスコミが一緒になって「積極平和主義」と宣伝していることは、安倍首相支持の方向に働くのである。

 民間会社は、法律違反でなければ、大きなお金が得られることは何でもやるし、それが有能であることとして、自らの誇りや世間からの評価の対象になるのかもしれない。しかし、巨大な権力からお金を受け取りながら、嘘をいかに本当らしくいうか、とか、本当をいかにうまく隠すか、というようなことを指南する企業は、企業の社会的責任の観点から、現在、未来にわたって批判の対象としなければならないだろう。さらに、そのような企業でそのような仕事に直接従事している従業員(個人)も、倫理的に全くの無罪とはいえない。

 ところで、今日主に問題にしたかったのは、官僚の方だ。報道によると、4月23日のジャカルタでのアジア・アフリカ会議での安倍首相の発言は、次のようであった。

 

【日本の誓い】

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 “侵略または侵略の脅威、武力行使によって、他国の領土保全や政治的独立を侵さない”

 “国際紛争は平和的手段によって解決する”

 バンドンで確認されたこの原則を、日本は、先の大戦の深い反省とともに、いかなる時でも守り抜く国であろう、と誓いました。 そして、この原則の下に平和と繁栄を目指すアジア・アフリカ諸国の中にあって、その先頭に立ちたい、と決意したのです。

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 通常のコミュニケーションや文章表現では、受け取り手が誤解なく容易に理解できる表現がすぐれているものとされる。これに対し、私がいう体に悪い官僚の「語法」とは、次のようなものである。すなわち、あたかも相手が知りたいことに応えているような外観をとりながら、実質においてはできるだけ、相手が問題にしたこと、つまりコミュニケーションの芯になる部分から論点を逸らして、実質的な説明や約束は避けるように、表現を工夫するというものだ。コミュニケーションしているようでありながら、実質、コミュニケーションしていないという、体が歪められる方向に引っ張られているような不快な感覚をもたらす。

 先に引用した安倍首相発言は、体に悪い官僚「語法」の一例である。本来ここで期待されていること(コミュニケーションの芯)は、現在の政府の意志を述べることであるが、この発言では、過去の日本の説明があるだけである。現在の政府の意志を不明確にするために、工夫されている。さらに詳しく見ると、「バンドンで確立された原則を、日本が破った行為があり、それを反省する」というように明確に述べることを避けている。つまり、「先の大戦の深い反省とともに」という部分も、何を反省をしているか不明確にされている。

 こうした表現は、アジア・アフリカ諸国の人々を「やりすごす」ためであり、同時に、日本国民をだますためでもある。

 政府の最近の政策、法案において、こうした類の表現が目立っている。官僚の間では、本来目指す、あるいは目指すべき、倫理的、政治的、行政的目的と無関係に、こうした工夫をする能力を嬉々として発揮し、評価し合う卑小な雰囲気が、特に秘密保護法案提出以来、高まっているのではないか。こういったものを準備する官僚は、「俺ッて頭イイっ」「どんな難しい注文でもこなします。また、依頼してねっ」といった気分なのであろう。これは、先に指摘した、嘘を本当らしく、本当を隠す宣伝手法の開発を自分の能力として誇ることと本質的に同じだ。