hajimetenoblogid’s diary

このブログは、反安倍ファシズムのすべての人々と連帯するために、米村明夫が書いています。

総括2--戦争法反対運動の力量

 戦争法反対運動に参加されたすべての方に、連帯と敬意と感謝の気持ちを表明します。

 ここに運動の発展のために、個人的な総括をします。

 総括として重要なのは、まず自分達の力量を理解することです。

 運動の力量をいくつかのレベルに分けて考えます。 

 まず、言論、論理という点では、戦争法案反対の運動は敵を圧倒する状況に至りました。法案の違憲性、それを議会で通すことのクーデター性、文字通り戦争法であること、政府説明のデタラメさ、政府(自衛隊)がすでに実行の準備を始めていること、採決の違法性、等が明らかにされました。言論、論理の圧倒は、学者や弁護士の組織の結成、活動にも表れています。

 次に最も活動的で、はっきりと戦争法案反対の意思を行動にあらわした人々、組織も急速に増大しました。8月30日の国会前集会に12万の人が参加しました。この数は、私がブローグを始めた約半年前から考えると、運動の大きな盛り上がりを表しています。

 しかし、デモ、集会という示意行動だけで、与党の戦争法強行採決を阻止するには足りないものでした。仮に、1960年の安保闘争時の30万人といわれるデモ参加者数を超えることができていたならば、それによって与党の強行を思い止まらせることができた可能性があります。

 こうした運動の影響力を見ます。戦争法案反対の世論は、次の通りです。

 

戦争法案反対」共同通信の世論調査

 5月30、31日 47.5%

 6月20、21日 58.7% (3憲法学者違憲」発言(6月4日)の後)

 7月17、18日 61.5% (衆院強行採決後)

 8月14、15日 58.2% (戦後70年談話後)

 9月19、20日 53.0% (参院強行採決後)

 

 戦争法案を廃案にするための最も重要な手段であり、運動の影響力を示す直接的な指標でもあった、安倍内閣支持率を見ましょう。

「安倍内閣支持率共同通信の世論調査

 5月30、31日 49.9%

 6月20、21日 47.4% (3憲法学者違憲」発言(6月4日)の後)

 7月17、18日 37.7% (衆院強行採決後)

 8月14、15日 43.2% (戦後70年談話後)

 9月19、20日 38.9% (参院強行採決後)

 

 これらからわかることは、

 ①5月に国民の半分が戦争法に反対していたところに、3憲法学者違憲」発言(6月4日)が、戦争法案反対の大きなインパクトとして加わり、戦争法案反対が6割に至ったこと、

 ②そのインパクトはすぐには内閣不支持につながらなかったが、その後、6月からの運動の拡大と7月の衆院強行採決の次のインパクトが加わることによって、内閣支持率が急落し、37.7%まで下がったこと、

 ③8月の戦後70年談話は、戦争法案反対を弱め、内閣支持を回復させたこと、

 ④9月の参院強行違法採決は、戦争法反対者を減らし、他方、内閣支持率を低下させたこと、

です。

 私達の運動の力量ということに関連して、その無念の思いは、次のようにまとめることができると思います。

 すでに6月段階で、反対運動の影響力は、大きく広がり、国民の6割が戦争法案に反対回答をするに至っていました。

 そして、その後の運動の高揚があり、また国会の討議の中で明らかにされた、戦争法案の違憲性や内容のひどさ、自衛隊の幹部の国会を越権した動き、等もありました。

 

 --にも関わらず、何故、集会に参加する人々の数が30万人というような水準に至らなかったのか。

 --にも関わらず、何故、戦争法案反対の声は、7割、8割へ増大していかなかったのか。

 --にも関わらず、何故、内閣支持率は、最も低い時ですら、4割近いという水準にあるのか。期待した、20%水準には結局遠いままでした。

 

 まず最初の2つについては、要するに私達の力量がそういう水準にある、という冷厳な事実を認める必要がある、ということを言いたいと思います。

 運動の最も活動的な部分を表す、国会前集会者数12万人という数字を、私達の力量を示す一つの現実として受け止める必要があります。

 国民の中の戦争法反対者も、国民の6割であり、それは現在の私達の運動の力量では容易に変えられない、というのがくやしいですが現実です。しかもこの反対者の割合は磐石ではなく、参院強行採決後は、若干減少すらしています。

 こうした現実を受け止めるところから、次の戦略、展望を考える必要があります。

 しかし、私は、3番目の問題--「何故、内閣支持率は、最も低い時ですら、4割近いという水準にあるのか」--は、ただそのまま運動の力量を反映しているもの、動かないものだとは思いせん。

 次の戦略、展望を考える上で、何故、内閣支持率は、最も低い時ですら、4割近いという水準にあるのか」という問題は、考察していくべきことだと思います。戦争法に対する反対者が6割という高さにありながら、内閣支持率がこのように高いことは、不思議なことです。この問題は、今だけではなく、ずっと、運動に関わるすべての人々にとって、重要だが解決できない疑問のままであったことでもあります。

 私は、この問題への解答を探っていくことが、現在の運動の力量を認めながら、さらに運動を前進させていく重要なヒントとなると考えます。

 私は、この考察を行なう上での鍵的な概念として、運動者の「(切実な)因果性の視点」と通常時の国民の「(通常生活の)独立性の視点」という仮説を提起したいと思います。

 次回に、それらを説明し、この第3番目の問題を議論し、展望を探り、総括を終えていきたいと思います。