hajimetenoblogid’s diary

このブログは、反安倍ファシズムのすべての人々と連帯するために、米村明夫が書いています。

戦争法反対運動の総括4--「新しい市民革命」を進めるために

 私は、戦争法反対の運動がファシズムに対する新しい市民革命の性格を持つ、ということをこのブローグの中で様々な形で議論してきました。*1

 そして、この市民革命の具体的な目標の一つが、安倍内閣支持率を20%水準にまで下げることと述べました。

 こうした観点から、運動の総括として、昨日の提起した「内閣支持率をどうすれば動かせるのか」は、今の実践的課題に直結しています。

 先に答を言います。それは、「統一戦線」です。

 このブローグで、時々、「潜在的な統一戦線」の存在についても述べてきました。それを顕在化するための提案が、私のような個人ではなく、共産党によって「戦争法廃止の国民連合政府」として提起されるに至っています。

 この統一戦線、戦争法廃止の国民連合政府」の運動の側から見た本質を、一言で表しているのが、山崎氏の下のツウィートです。いつもスマートな頭脳を見せてくれます。

 

 

SEALDsのEAは「緊急行動」の略であり、共産党の志位委員長も「緊急行動」をとる意思を示したが、民主党の執行部には「緊急行動」の必要性を認識している議員がどのくらいいるのか。日本社会党がどんな風に没落していったのかを振り返れば、自分たちも崖っぷちに立っていると理解できるだろう。

 

 かなり、話が先走っていますが、総括とか理論とか言っている間に、次々と現実が展開していって、追いついている暇がありません。

 話を一昨日の分析枠組みに戻します。上のツウィートについては、後でまた議論します。

 安倍ファシズム政権の姿が露わになるにつれ、運動に参加する人々が増加しました。それは、「因果的視点」を持つ人々の増加を意味します。

 そして、運動の直接的な行動目標の一つが、急速に安倍内閣支持率を下げることでした。

 では皆が「因果的視点」を持つようになれば良かったのでしょうか。もちろん、できればそれに越したことはありません。

 しかし、「急速に」、つまり、この数カ月の間に(戦争法案が通る前に)、それを実現することは不可能でした。私達の運動の現時点の力量を認めなければなりません。

 というか、通常は「独立的視点」を持つ人々が、多くいるのはあたりまえであると考えなければなりません。

 敗戦直後の日本のように、悲惨な戦争が実現して、かつその敗戦や国民の闘いによって、その政権が倒れるという壮絶な経験をした後でのみ、

悲惨な戦争←戦争法←安倍内閣←自公←「日本会議」(極右)

という「因果性視点」は、大多数の人のものとなるでしょう。運動は、その前に、安倍政権を倒そうとしているのですから、「独立性視点」を持つ人が多くいるのは当然なのです。

 「独立性視点」を持つ人は、世論調査の他の項目で、「戦争法反対」の意思表明していた人でも、安倍内閣支持・不支持の項目では、戦争法に対する評価と関係なく(「独立に」)、安倍内閣の評価をします。

 安倍内閣とその他の「実現可能性が高いものやそのそばにあるもの」(=「主観的距離」の「近い」もの)という選択肢の中から、安倍内閣支持・不支持の決定を行なうのです。

 では、統一戦線(あるいは共産党の提起した「国民連合政府」構想)は、このような「独立性視点」を持つ人々の視野に入っていくことができるのでしょうか。

 私は、答はYesであると考えます。むしろ、答はそこにしかない、と思います。

 今、安倍内閣支持・不支持(政権選択)、さらに選挙といったテーマについて考えてみます。

 一般に政治問題では、争点の設定が重要であり、そこに人々の目が向けられます。つまり、安倍内閣支持・不支持(政権選択)、さらに選挙といったテーマでは、「独立性視点」を持つ人々が、どのような争点を意識しているか(=どの問題を主要な判断基準としているか)ということが重要です。

 そうした争点=主要な判断基準の存在と「独立性視点」を持つ人々の視野(「主観的距離」の「近い」ものとして目に入ってくる範囲)の間には、密接な関係があります。

 具体例で話します。仮に統一戦線連合党的なものとして、憲法学者小林節氏を首班とする立憲統一連合党ができていたとします(この立憲主義党のアイデアは、「世に倦む日々」氏が出したものです)。当然、マスコミはこの連合党を話題とするでしょう。

 そうすると、安倍内閣支持・不支持の問題で、例えば、人々がイメージする代替案において民主党内閣だけではなく、小林節内閣も視野に入ってくるでしょう。

 この時もし、小林節内閣の支持率が相対的に低いものであったとしても、安倍内閣支持・不支持の判断基準の軸として、戦争法反対か否か、がより明確に意識される、ということが同時に生じます。

 つまり、小林節氏を首班とする立憲統一連合党の設立は、「独立的視点」を持つ人々の視野に入り込むと同時に、その内閣支持の判断における戦争法の賛否という判断基準の重要性を高める、という効果をもたらします。

 それは、安倍内閣支持率の減少につながったでしょう。

 実際、与党・政府は、 自らに有利なように争点設定を巧みに行なってきました。2014年の総選挙では、アベノミクスを争点にして、大勝しました。

 今回の運動期間の世論調査でいえば、8月の「戦後70年談話」について、争点は「おわび」「侵略」・・・等の「キーワード」が談話に盛り込まれるか否かだ、としたマスコミを誘導しました。その上で、それらの「キーワード」を全部盛り込んだとして、争点を成功裏に果たした政権という形を示すことができました。そして、これによって、直後の世論調査では、戦争法反対運動によって下落傾向にあった内閣支持率の回復に成功したのです。

 私達は、大小の集会やデモ、ビラ配り、ネットや様々な言論空間での言論戦と同時に、安倍内閣支持・不支持(政権選択)、さらに選挙といった場面に直接に照準を当てた、問題提起が必要だったと思います。

 それが、統一戦線の提起だったのです。

 この総括の序論において、「歴史の弁証法」ということを書きました。

 次回には、共産党戦争法廃止の国民連合政府」を、今回の運動の流れの中に弁証法的に位置づけて、上に引用した山崎氏のツウィート等と一緒に議論したいと思います。