「グローカルな連帯」と英国のEU離脱(2)
最初に、前回のブローグに加えておいた方がいいと思う記事を見つけました。自民党が組織的に、テレビ局に圧力をかけているということを池上彰氏が証言していることを書いたものです。
そして、次のように述べています。同感です。
「忖度」というマジックワードによってメディア側の“自己批判”に終始してしまえば、その根元はどこから来ているのか、という問題の本質を見失ってしまう
(小杉みすず)
また、山崎氏が重要なことをツウィートしています。
(続き)からの沖縄の友人だった。NHKがこの日のニュースで『県民大会』という言葉を執拗に避けて『大規模抗議集会』という言い方をしているのだという。確かめてみると、何と本当にNHKだけが当日の県民大会のことを『大規模抗議集会』と放送」「沖縄報道におけるNHK政治部の内部統制機関化。
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) 2016年7月7日
(続き)一体何のためにそのようなことが起きるのか」「実際には、最高権力者の地位、権限を利用した、むしろNHKよりも政治権力そのものに近い小官僚、自発的隷従者たちが、権限をふるって、あれをするな、これはマズい、ここはこう変えろ等と命じている」 こんなものを「公共放送」とは呼べない。
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) 2016年7月7日
私は、こうした現象(政治権力を持つ者からの明確な命令なしに、行政の中間や末端の位置にある者、政府関連組織の管理者達による思想・言論統制)は、ファシズムの特徴だと考えます。
ところが、例えば、以前のブローグで批判したように、一橋大学の政治学者(中北教授)は、上記のようなマスコミ支配の現実を深刻なものとしてとらえていません。
そして、形式的に選挙があるということから、安倍政権を「ファシズムではない」と積極的にいっています。
彼にとって、「ファシズム」の定義とは、歴史的な事実や目の前の現実とは、無関係のことのようです。
しかし、マスコミ自身も、現在自分達に起こっていることの意味の深刻さを理解する能力を持つ必要があります。
形式的な発言しかできない「学者」のことはさておき、ジャーナリストとして、そういうことを直感する能力、目の前に起きていることがから目を逸らさない使命感がが必要です。
ジャーナリズムがその能力と使命感を失った時、深刻な事実はますます深刻なものとなります。
社会は--つまりジャーナリスト自身、その家族も含めて--ますますファシズムの泥沼に引き込まれていきます。
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今回は、英国のEU離脱について経済的側面から論じたいと思います。
EUの理念的側面、政治的側面は重要です。
EUは、規約で人権を謳い、また各国の平等性を強く意識した構成となっています。
しかし、現実には、経済的側面が決定的です。
EUは、基本的に、アメリカを先頭とする新自由主義の中で、自らも新自由主義を採用する経済ブロックとしてできたものです。
つまり、それは、このグローバルな時代の激しい経済競争に立ち向かう必要からできたものです。
例えばTPPも経済ブロックですが、それとどう違うのでしょうか。
通常はこれらは全然別物として扱われます。私のように経済ブロックとして単純化する議論はされていません。
しかし、私はむしろ単純化、抽象化して、それによって、大きな方向性を理解したいと思います。
TPPは、まず、他国との関係で、実質的に米国優位が貫かれています。また、TPP、新自由主義を徹底し、国民、労働者の福祉への配慮が全くなく、逆にそれを破壊する要素を含んでいます。
これに対し、EUは、まず、先に述べたように構成国間の平等があります。
また、EUの条約を改正していく過程で、各国間の交渉を通じて、国民、労働者の福祉を様々な形で考慮するものとなっています。
そして、EUとしての社会政策を持つに至っています。
ヨーロッパの福祉国家を研究したエスピン・アンデルセンは、1990年の著書で、新自由主義の浸透に対して、福祉国家は対応力を持つ、という意味の事を言いました。
確かに、EU各国はこれまでどうにか対応してきました。
しかし、世界の経済競争や不況が続き、また、リーマンショックがあったりして、新自由主義のその本性がじりじりと表面化し、福祉は後退してきていて、それが社会の中でかなり強い緊張をもたらしつつあるのが現実です。
繰り返しますが、EUは、経済的には新自由主義をとることによって、国際的な経済競争に立ち向かおうしているものですから、世界経済がそうした状況にある時、長期的に見て、このような結果となっているのは納得のいくところです。
(次回以降に続けます)