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hajimetenoblogid’s diary

このブログは、反安倍ファシズムのすべての人々と連帯するために、米村明夫が書いています。

「グローカルな連帯」と英国のEU離脱(5)--金融資本主義の危うさ(i)

 先に、資本主義の利潤形成の追求が、

 ①生物的な搾取(労働時間の延長や労働密度の増加)、

 ②地域間の価格格差の利用、

 ③技術格差の形成利用(イノベーション)、

 ④金融商品による未来の利潤の先取り、

によってなされるとして、③まで説明しました。

 そして、③はバラ色の資本主義、福祉国家を約束したように見えたけれど、それも行き詰まってしまったことを述べました。

 これに対し、国家と資本は、①②をも強化した、一世紀前の野蛮な資本主義、つまり新自由主義へ戻ったと説明しました。

 今回は、新自由主義で新たにとられ、あるいは強化された手段としての、④の金融資本主義の新たな発展について議論します。

 これは、それこそ「お花畑」のような新古典派的理論では、金融資本は、資本の世界において最適投資を効果的に誘導する、天使のような役割を果たすことになっています。

 しかし実際には、もはや資本に利潤形成をもたらす領域が枯渇し始めているため、その領域を時間軸の方向に引き延ばして探し出そうとする、かなり無理筋のやり方に向かっているのです。

 つまり、金融資本主義は、未来から無理やりに収奪しようとする欲望に駆動されたものとなり、過剰投資を引き起し、ばくち資本主義になっています。

 少し話が逸れるように見えますが、未来からの無理な収奪と密接に関連するので言及しておくべきことがあります。

 それは、「金融工学」のことです。

 「金融工学」の経済学者がノーベル賞をとったりしていますので、なんとなく聞いたことがある人も多いでしょう。

 これは、確率微分方程式という最先端の数学を用いて、金融商品の価格設定の理論的な基礎を与えた、ということになっています。

 わかりやすく類似例、生命保険で考えてみます。あれの掛け金がどうやって決まるか、つまり、生命保険が会社が、絶対損をしない価格を設定するやり方(数学的根拠を持った計算の仕方)とは、どういうものでしょうか。

 結論を言いますと、各年齢にある人が、平均で、後何年間生きるか、ということから計算(基本的には、小学校レベルの加減乗除)できます。

 ところが、金融商品の価格となると、ある意味では、原理は同じですが、実際に金融会社が損をしない価格設定をするというのは、確率や微分が入ってくる複数の方程式を解くという、とても複雑なもので、これまではその解法は発見されていなかったのです。

 つまり、金融会社は、ノーベル賞級の工学のおかげで、新商品の生産を可能とする新たな領域が切り開かれ、新たな利潤獲得の機会が創出されたわけです。

 さて、この金融工学というものをどのように評価したらよいでしょうか。生命保険と比較してみましょう。

 金融工学は、金融商品の価格設定とか、金融取引の損得に関わる数学的表現、根拠を与えるものでした。

 そうしますと、生命保険の掛け金設定のための計算方法--生存率等に基づく価格設定--も、一種の金融工学といえるでしょう。

 私は、生命保険とその基礎にある単純な数学的計算を、社会的に役立つ、信頼すべきものと考えます。

 しかし、「高級な方の」確率微分方程式を用いた金融工学には、「ちょっと待って」とストップをかけたいと思います。 

 工学は、一種の自然科学であって、それは専門的、技術的なものであり、政治的に中立だ、という観念が一般にかなり強いと思います。でもそれはどうでしょうか。

 私が、「金融工学」から連想するのは、「原子力工学」やそれと関わる「安全工学」等です。

 次回以降に、説明していきます。