hajimetenoblogid’s diary

このブログは、反安倍ファシズムのすべての人々と連帯するために、米村明夫が書いています。

トランプ当選の意味(2)--現在の動き--ファッショ化への挑戦

 イギリスのEU離脱では、離脱の旗をふった独立党党首のファラージが辞任(逃亡)するという茶番が起きました。ファシズム的な運動の中には、上から下まで、このような虚勢をはりたいだけの茶番的な人物達が混ざっていることは確かです。しかし、そのリーダー(達)の多くは、一度権力を握ればそれを最大限あるいは最大限を超えて利用し、ふるう者として人格形成、地位形成をしてきた人々であり、そのやり方を自ら変えることはまずないと考えた方が正解です。

 トランプ政権はファシズム政権になるのでしょうか?私はその可能性が高いと思います。

 ファシズム運動は、復古的なナショナリズムに志向するものです。その背景には自国の深刻な経済不況が有り、人々の不満と不安が有り、それらからくる社会不安が有ります。ファシズム勢力は、そのような自国の現在を、内外の敵によって不当な状況におかれていることが原因であると説明し、歴史的に偉大であった、強国であった過去--実際にはそんな過去は存在しないのですが--に戻ろうと訴えるのです。

 トランプの思想が政策的にはどのような形を持つものなのか、について不明な点が多いことも、マスコミの論評がすっきりしない理由の一つでしょう。

 しかし、今回のトランプの勝利が上で述べたファシズム的なものによっており、私は、トランプがファシズム運動のリーダーとしてアメリカ政治と社会を動かそうしていくと思います。

 社会レベルで、KKKを始めとしたファシズム的運動組織の活動等、暴力的・差別的な社会的雰囲気が顕在化しています。それは今後急速に、より活発化・顕在化、ネットワーク化、新政権との連携化を実現していくでしょう。

 当面トランプにとって重要な問題は、まだ議会や政党(共和党)の中に自派組織と呼ぶべきものを持っていないことです。しかし、それも急速に形成されていくと思います。その一つの可能性が、選挙中に見せた共和党内の亀裂が、トランプ支持派の台頭という形で進行していくことです。少なくとも、トランプはそうした方向を計算して人事を進めていくでしょう。

 アメリカの大統領選挙と直結した政治的・行政的に重要な意味を持つのは、行政ポストの政治任用制という制度です。英文のwikiによると、新規大統領は、4000人の新規任用を行ないます。その内、1000人は上院の承認が必要とされます。

 大統領行政府には、350人余の上院の承認不要の人員の多くが配置されます。その中でも、ホワイトハウスのスタッフが大統領と密接な位置にあります。

 現在トランプは、ホワイトハウススタッフの従来トップとされてきた大統領首席補佐官に、ラインス・プリーバス共和党全国委員長を、また同じくホワイトハウスの要職である首席戦略官・上級顧問(兼任)に、スティーブ・バノン(大統領選挙中の選対トップで、右翼メディア「ブライトバート」でナチズム的な言動を先導した)の二人を指名しています。トランプは、わざわざこの2人を、同等の力を持つ(「平等なパートナー」)という意味の発言をしています。

 また、トランプによる各省のトップ指名者について、報道がされてきています。各省の長官、副長官、次官などの上級官僚は、上院の承認を要します。しかし歴史的に不承認の例は5つしかありません。

 国防長官に指名されたジェームズ・マティス元中央軍司令官(66)は、彼がイラク戦争等において果たした役割等、過去の言動から「狂犬」と呼ばれています。

 先に述べたバノンやこのマティスの指名は、トランプ政権のファッショ的性格を典型的に示すものです。トランプと同様の指向性(政治思想や言動において権力的・暴力的性向)を持つ人物を据えることによって、彼の選挙時の民衆的なサポーター達にアピールすると同時に、同じく選挙時に彼に反対した民衆に対する脅しをかけようとしているのです。日本で安倍第2次内閣が、国家公安委員会委員長に、極右の山谷えりこを指名したことを想い起こさせます。

 またこうした人事は、共和党および民衆党の彼に対する反対派に対する挑戦という意味を持つでしょう。

 トランプが勝つとは限りませんが、彼は強力な権力を握りつつあるのです(彼の指先に核ミサイルのボタンがあります!)。

  その他の閣僚ポストは、「大富豪達」によって占められています。

 民主党内の予備選で惜しくも破れたバーニー・サンダースは、トランプの財務省、厚生省、商務省、教育省、 住宅・都市開発省、司法省、各省の長官指名者が、百万長者、億万長者たちであることを、痛烈に批判して、次のように述べています。

 

「トランプの行政府は、百万長者・億万長者の、彼らによる、彼らのためのものだ」 

(住宅・都市開発省長官に指名されたベン・カーソンは、辞退したという情報もあります。)

   

Donald Trump's administration: of, by and for the millionaires and billionaires.

 

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(数字は、純資産額です。)

 

 

 

 現在のトランプの人事を中心とした動きを、トランプのファッショ化への挑戦という角度から見ました。

 このような動きに合わせて、前回のブローグで述べた、新自由主義グローバリズムの帰結、資本主義の危機ということを、どのように一貫性を持って捉えたらよいのでしょうか。

 次回にこの点を論じます。