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hajimetenoblogid’s diary

このブログは、反安倍ファシズムのすべての人々と連帯するために、米村明夫が書いています。

「グローカルな連帯」と英国のEU離脱(4)--資本主義の危機

EU離脱

 前回、ドイツの労働者の低賃金水準が維持される中で「一人勝ち」があることを書きました。

 いかにも、ドイツ人らしい勤勉さを感じますが、もしかしたらそういう問題ではないかもしれません。

 あのフォルクスワーゲンのデータ捏造が想起されます。ドイツ企業の伝統と厳格さを象徴するような、世界的な企業が、そうしたイメージとはかけ離れた、単純かつ組織的な不正によって、巨額の賠償をしなければならないことになるとは、私も想像したこともありませんでした。

 しかし、確かなことは、有力、「優良」イメージの大企業といえども、大変な競争圧力にさらされており、トップや現場における異常な行動--後から見れば、かえって「損」であることが明らかなような--の背景には、この高い競争圧力があるということです。

 このような激しい、資本主義的な競争は、私達に必要なのでしょうか?

 この問題にYesという回答を与えてきた、これまでの論理はだいたい次のようなものです。

 福祉の拡大には、経済成長が必要であり、経済成長の早道は、資本主義の道だ、という論理です。

 そして、最も資本主義らしい資本主義が、新自由主義だ、というわけです。

 しかし、資本主義自体が危機的な段階に陥っているのではないか、と多くの論者が考えています。

 そういう議論は昔からあり、その基本枠組みは、マルクスに拠りますが、資本主義の発展に伴って、危機論自体も発展してきています。

 資本主義の発展はどのような要素によって起こるのでしょうか。

 資本の本性はより高い利潤を求めることにあります。この利潤形成は、①生物的な搾取(労働時間の延長や労働密度の増加)、②地域間の価格格差の利用、③技術格差の形成利用(イノベーション)、④金融商品による未来の利潤の先取り、によってなされます。

 ただ、これらによって生産される商品に、需要があることが前提です。

 ①②は、古典的な資本主義の発展の基本で、海外に商品市場がある時は、効率的な利潤稼ぎの方法となります。

 ②は、国内格差でもよく、地域間格差が大きければ、生活費の格差によって安い出稼ぎ労働力が得られ、生産した商品を売る市場が得られます。

 他方、①は、資本家と労働者の対立を高めますし、労働者の購買力を低めます。また、②は、長期的には格差が減少していくか、いつまでも格差が持続する場合は、所得水準の低い地域は、消費市場としては機能しなくなります。 

 そこで、先進国の資本主義としては、③が注目されるようになりました。

 もし、技術革新による新製品が、必ず売れるなら、そして技術革新が永遠に続くなら、永遠に利潤を生み出すことも可能となります。

 労働者に、そうした製品を買えるだけの賃金を払えば、①に起因する資本家と労働者の対立も解消に向かうでしょうし、②の格差がなくなってきても、利潤を発生させ続けることが可能です。

 こうした利潤発生が、未来にも見込めるなら、国家が、労働者、国民の福祉のために権利・福祉制度を整えたり、景気循環に合わせて、公的投資を行なったりしていくことは、政治的、経済的に可能で、好ましいことになります。 

 実際に第2次世界大戦後に、先進国で成立してきた福祉国家は、多くの人々にとって、こうした見方の正しさを示すものとなってきました。

 これで、資本主義が内在的な矛盾なく、利潤を生みながら、自己再生産が可能になると思われたのです。

 もちろん、現実の先進国の福祉国家体制は、③に加えて、特に途上国との関係において、①②を維持し、効果的に利用することによって成立したものです。

 ③に注目し(それ以外を見ないで)、資本主義が矛盾なく発展していくという議論は、先進国の資本主義発展の国内的な面(「美しい」面)だけに目を向けた議論でした。

 とはいえ、それは資本主義発展の新しい局面、強い生命力を指摘するものだったといえます。

 技術革新は、現在でも、資本主義の核心的な部分を形成しているというべきでしょう。 

 しかし、それは、資本に永遠に利潤を提供し続ける、新しい供給と新しい需要をもたらすものではあり得ませんし、実際に行き詰まりつつあります。

 上記の判断は、私の考えというよりも、国家と資本の判断なのです。

 つまり、新自由主義が、上記で述べた状況に対する国家と資本の判断を表しています。

 国家と資本は、1970年代の末から、利潤を維持するためには、国家による福祉を後退させ、①②をできる限り復活、利用し、さらに、④も「有効」な手段として利用するようになってきました。

 「現実的判断」として、資本主義の無矛盾的、福祉国家的モデルは、無理で、それでは利潤獲得が不可能だ、というわけです。

 新自由主義は、資本主義の危機に対する国家と資本の方策です。 

 長くなってきましたので、次回に続けます。